夏野の驚異の部屋

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失われた生物学上20世紀最大の発見! 今では見ることすらできない「鼻行類」の話

どうも皆さんこんにちは。

久しぶりに雑記以外を書きますね(笑)

篠虫です。

 

 

今回は、”鼻で歩く”世にも奇妙な生物のお話です。

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子連れの「モルゲンシュルテン オオナゾベーム」の図

 

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今はよく知られた生き物でも実は発見されたのは比較的最近という例はいくつも存在します。

 

例えば老若男女に大人気のジャイアントパンダ、特徴的な色、大型の哺乳類でありながら世界的に認知されるようになったのは19世紀末になってからです。

 

近代になればなるほど、科学の発展が地球上から未知の存在を消していった結果、21世紀になる頃には地上において重大な生物学的新発見は少なくなりました。

 

 

しかし、今から70年近く前、太平洋上に存在したハイアイアイ群島において革命的な発見がありました。

 

 

それが新たな生物種鼻行類の発見でした。

 

 

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鼻行類とは?

 

1941年に発見された太平洋上のハイアイアイ群島で初めて確認された動物です。

 

その名の通り鼻で歩くという訳のわからない生態を持つ哺乳類の生物群のことを指します。

この生物はハイアイアイ群島のみに生息した島嶼固有種で、太古から独自の進化を遂げた特殊な動物でした。

 

 

ここで過去形を使っているのには訳があります。

 

実は多様な鼻行類が生息したハイアイアイ群島は秘密裏に行なわれた核実験によって消滅してしまったのです。

鼻行類研究の中心だった島内のダーウィン研究所や研究者達、そこにあった膨大な資料は全てこの世から消え失せてしまいました。

 

今現在、鼻行類に関しての詳しい記述がされているのは一冊の本のみ。

鼻行類の標本すら1つも残っておらず、私たちの多くはその存在すら知れないままなのです。

 

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ハラルト・シュテンプケ著 日高敏隆・羽田節子訳『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』

 

 

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鼻行類の種類

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多様な鼻行類=ハナアルキの仲間 どの種も独特な生態を持つ(低画質ですみません)



上述の本を参考にすると、鼻行類哺乳類の1目とされ、当時14科189が知られていました。

 

共通の特徴は「鼻で歩く」の他、多くの種が「暮らしに適応した特殊な尾や手足」を持っています。

 

中には歩くことをせずに特定の場でしか生活しない種もいます。

 

生活場所も様々で、森林地帯・山岳地帯・砂漠地帯・湿地帯・地中性など島内の各環境に適応しています。

 

 

 

一部の種を紹介します。

 

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左/コウラナメクジハナアルキ 右/キンカイショクミツオハナアルキ

 

上図Aのコウラナメクジハナアルキは、甲のある尾をそなえた種で、小さな火山島イサソファ島の爆裂火口周辺に生息していました。

尾をお腹側へ折りたたむことで身体を尾の中に隠すことができました

 

大きさはハツカネズミほど(約10cm)で、短く幅広い鼻を持ち、カタツムリの足のような動きで移動します。

移動速度は速いときで分速10~12mにもなります。滑るように移動するその速さは肉眼では捕らえづらいほど。

食べ物は、地方固有の巻き貝の仲間。

 

 

上図Bのキンカイショクミツオハナアルキは、幼獣期に決めた場所から離れることなく過ごします。鼻から粘液が分泌され、それが固まってを繰り返して土台を作ります。

 

では、餌はどうするのかというと、名前の由来となった尾が活躍します。彼らの尾からは果実のような香りのする粘着物質が分泌され、誘引された昆虫類がくっつきそれを前足で捕って食べるのです。

また尾の先端には毒爪があって集団で尾を振り回すことで、外敵から身を守ります。

 

 

 

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モルゲンシュテルンオオナゾベーム

モルゲンシュテルンオオナゾベームは、最もよく知られた多鼻類で、四鼻類の代表種です。

短くずんぐりした頭部に4本の長い鼻を持ち、その鼻を使って歩きます。

この鼻には骨はありませんが、海綿体が充血し硬化することで歩行を可能にしています。

 

長く柔軟で脊椎のない尾は、盲腸と気道で繋がっており、気道内に腸内ガスを充満させることで瞬間的に尾が膨らんで高さ4mほどまで投げ上げられます

これにより高い位置にある果実を採って食べることができます。

 

 

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ダンボハナアルキの骨格図

ダンボハナアルキはさらに変わった種で、関節を持ち先端が扇形に広がった長い鼻を使って跳ぶように移動をするんですが、そこに大きな耳を使うことで飛ぶことができます。

鼻をバネのように用いることで勢いをつけて翅代わりの耳で羽ばたき、花畑の上を自由に飛び回ります。

食料は花に集まる小型の昆虫です。

 

 

 

・・・・とわずか数種類を紹介しただけでもこの「鼻行類」がどれだけ特別な動物種だったかがわかると思います。

 

 

ですが、冒頭で述べた通りこれらの動物に会うことは絶対にできません。

 

 

実はその理由はそれは「島ごとこの世から消えたから」ではないのです。

 

 

 

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鼻行類真実

 

ここまで鼻行類について、その面白さと特別性を話してきましたが、どこか違和感を覚えませんか?

 

いくら数十年前に全くの情報が無くなった、とはいえこれほど特異な生物のことを私たちが全く知らなさすぎるのは不自然ですよね?

 

 

勘のいい人は気付いていたかも、もしくは初めからこの本を読んだことある人であれば知っているはずです。

 

 

そう。

 

鼻行類の各種類の生態や図説や身体の仕組みまで、かなり詳しく記述されているこの本ですが、、、

 

 

 

全部嘘です!

 

 

 

ええ、私も初めは完全にだまされていました。

すぐにネットの記述から嘘だとわかりましたが・・・

 

Amazonのレビューでも、まるで事実かのような感想を述べる人が大勢いるため余計にだまされてしまいますね(^_^;)

 

だまされる一番の原因はやはり本の内容です。

 

かなり正確な描写で、架空の生物でありながらもきちっと生物学上筋の通った説明がされているため、説得力が桁違いです。

 

そして何よりも、本書内でネタバレが一切無いことが原因です。

 

多数の書籍で引用されたときにも、創作の逸話が記載されてあり、海外のいくつかの博物館には存在しないはずの鼻行類「剥製」が展示されていたりと、手の込みようと全員で1つのコンテンツを作り守ろうとしている点が良いですよね!

 

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トビハナアルキ(Hopsorrhinus aureus )の再現(ヴィースバーデン自然史博物館)



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鼻汁を垂らして水生動物を捕獲するハナススリハナアルキの偽剥製(ストラスブール動物学博物館)

鼻行類 - Wikipedia

 

 

嘘だとわかった上でも、「いや、もしかするとひょっとして・・・?」と思ってしまうほど作り込まれた新種へのロマンの塊なんですよね~

 

ある意味、UMAなんかとも通じる部分だと思います。

 

 

 

ここでは紹介しきれなかった種類もまだまだいるので、興味がある人はぜひ一度読んでみてください!

 

 

 

参考文献

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活

 

 

 

有志による鼻行類考察サイト

Nasobem Research Center

 

 

 

ウィキペディアサイト

鼻行類 - Wikipedia

 

 

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さて、いかがだったでしょうか?

 

一部では有名な本なので知っているには退屈だったかも知れませんが、初めて見る人にはかなり強烈な情報だったかなと思います。

 

関連本もいくつかあるのでそちらも読んでみたいですね。

 

 

それではまた!

(。・_・)ノ

 

 

 

 

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)

 

 

 

シュテュンプケ氏の鼻行類―分析と試論

シュテュンプケ氏の鼻行類―分析と試論

 

 

 

鼻行類の盗賊たち

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