夏野の驚異の部屋

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鎖国中の江戸の文化レベルもわかる! 葛飾北斎『百物語 こはだ小平二』

どうも皆さんこんにちは。

 このシリーズ、なぜかとても書きやすい記事なんでスイスイ書いてUPしちゃうんですよね(^_^;)

篠虫です。

 

 

 

今回で百物語3枚目になります!

 

 

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前回までの記事

 

 その一

natuno-wunderkammer.hatenablog.jp

 

  その二

natuno-wunderkammer.hatenablog.jp

 
 

 

 

 

それでは早速絵を見ていきましょー

 

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葛飾北斎 『百物語 こはだ小平二』 天保(1830~44)初期 中判錦絵



 

前回の

 

正直な話、多くの人は「こはだ小平二」と聞いても一体どんな妖怪なのかそもそも妖怪なのか?と思うでしょう。私もそうでした…

 

モデルとなったのは、江戸時代中期に活躍した浮世絵師・戯作者の、山東京伝『復習奇談安積沼(ふくしゅうきだんあさかのぬま)』に出てくる”小幡小平次”です。

 

小幡小平次 - Wikipedia

 

話の内容はというと・・・

 

小平次は二代目市川團十郎の時代の江戸の役者だったが、芸が未熟なためになかなか役がつかなかった。

(中略)
ようやく小平次が得たのは、顔が幽霊に似ているとの理由で幽霊役だった。彼はこれを役者人生最後の機会と思い、死人の顔を研究して役作りに努めた。苦労の甲斐あって小平次のつとめる幽霊は評判を呼び、ほかの役はともかくも幽霊だけはうまいということで、「幽霊小平次」と渾名され人気も出始めた。
小平次にはお塚という妻がいたが、お塚は愚鈍な小平次に愛想を尽かし、鼓打ちの安達左九郎という男と密通していた。奥州安積郡(現・福島県)への旅興行に出た小平次は、左九郎から釣りに誘われるがままに一緒に安積沼へ行くと、そこで沼に突き落とされて命を落としてしまう
左九郎は、これで邪魔者が消えたとばかり喜んで江戸のお塚のもとへ行くと、そこにはなんと自分が殺したはずの小平次がおり、床に臥せっていた小平次は死んだ後に幽霊となって江戸へ舞い戻ったのだが、生前あまりにも幽霊を演じることに長けていたために、そこにいる小平次の幽霊は生きていたときの小平次と変わらないものだった。驚きおののく左九郎のもとに、その後も次々に怪異が起きる。左九郎はこれらすべては小平次の亡霊の仕業だと恐れつつ、ついには発狂して死んでしまう。お塚もまた非業の死を遂げた

(一部編集)

 

・・・話が長かったので引用してきました(~_~;)

 

内容からわかる通り、小平次はなんともいえない悲しい人でありながらも、やっと得たはまり役が「幽霊」役であったり、本当に死んでしまって幽霊になってしまった点が、少し滑稽な部分としても捉えられます。

 

 

他の人が書いた「こはだ小平次」を見てみましょう。

 

 

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歌川国歳『こはだ小平次』紙本着色 明治時代(19世紀)

この絵の小平次は、蚊帳の内で寝ている自分の妻”お塚”と自分を殺した愛人”左九郎”を恨めしそうに見ている。。。というより、なんというか嫌らしい目つきをしていますよね。この辺りに人気になったのが幽霊役という小平次の少し情けなさが表情からも読み取れます。

 

 

 

もう一度、”北斎版”小平次を見てみましょう。

 

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葛飾北斎『百物語 こはだ小平二』 中判錦絵 天保(1830~44)初期

・・・ちなみに山東京伝の作中では「小幡小平次」、歌川国歳の絵の題では「こはだ小平次」と、小平”次”なんですけど、なぜか北斎の絵は「こはだ小平”二”」となっています。ちょっと不思議……

 

 

さて話を戻しまして、

国歳版とくらべれば、北斎かなりの恨みがにじみ出ている描き方ですね。

骨(?)でできた数珠のようなものを首にかけ、白骨化した骸でありながらも血走った目で、蚊帳の内にいるであろう自分を振った妻と己を殺した愛人を見続けています。

 

また、この骨格の描き方、

当時鎖国中であった日本ですが、意外と欧米諸国(主にオランダ)の書物が輸入されており、その中にあった解剖学書、例えば『解体新書』の様な本を北斎も参考に絵を描いていたと考えられています。

リアルな骨格を描くには、当時の最先端情報が載っている海外の書籍は大いに参考になったでしょう。

 

日本の知識レベルは鎖国中であっても欧米列強の先進国にひけをとらないレベルだったと近年わかってきているので、鎖国」という言葉が徐々に歴史の教科書から無くなっているくらいです!

 

描き方・構図も含めて、北斎の『百物語』シリーズでは、私はこの絵が一番好きですね!格好いいと思います。

 

 

 

余談ですが、

歌舞伎の演目として上演される話でもあるのですが、小平次の話に限らずお岩などの強い恨みをもって亡くなった幽霊の話を演じる役者さんは必ずその墓参りをしたり演劇後は寄り道をせずにまっすぐ帰るそうしないと霊のたたりに触れ、必ず怪奇現象が起きると現在でも変わらず信じられているようです

 

 

 

 

 

さて、いかがだったでしょうか?

 

北斎百物語絵もあと2枚です。

こうやって妖怪絵を紹介するのってなんか楽しいんですよね(笑)

次をお楽しみに!

 

 

それではまた!

(。・_・)ノ